徳川2代目の秘訣


徳川2代目の秘訣



徳川の2代目将軍に決められた秀忠は、当初、なにかと父家康と比較されて神経が参るような毎日だった。
そんな折、小倉城主、細川忠興が江戸城に登城してきた。
あの細川ガラシャの旦那様である
世渡り上手に長けた忠興は、父の幽斎にひけをとらぬ名2代目の名が高かった。
そこで秀忠は話を聞きたいと思い、忠興を部屋に呼んだ。

「どのようにすればあなたのような名2代目になれるか、その秘訣を伺いたい」

秀忠は率直に訊ねた。
 
それに対して忠興は、
「秘訣など別にございませぬ。わたくしはただ父の教えを守っているにすぎませぬ」

幽斎は全国に名将誉れ高い…

「ではその教えをお尋ねしたい」
謙遜する忠興に秀忠は食い下がる。

忠興は秀忠の心中を見通し、やんわりとこう答えた。

「父幽斎はこう申されました。家中は重箱である。そしてその重箱に蓋をする時は必ず丸い蓋をせよと、そう教えられました」


「重箱に丸い蓋とな。四隅が空きますな」


「ご賢察、さすがは徳川2代目。重箱にピッタリと蓋をすれば、中のものが息苦しくなる…そういうことでございます」

(そうか重箱は天下か…)
秀忠はニッコリした。

忠興はなおも続けた。

「しかも父幽斎は、重箱を掻き回す時には決して楊枝を使うな、スリコギで掻き回せと申しました」


「なるほど、丸い蓋と同じですな…」

秀忠はそう言って満足げに頷いたそうな。


重箱は国であり、会社であり、家庭であり、突き詰めれば、一個の人間でもあろう。

長たる者、息苦しくならぬようユトリをもたせ、突っつき掻き回す時もスキを与えるが如し。

それは一個人の生き方にも通ずることであろう。


崖の上のボロ庵宿坊ものぐさ帖

山梨の昇仙峡という山奥の景勝地にていやし処という名ばかりの小さな無料休憩所と宿坊をそっと開いています。 そこで…日々の暮らし…思いを…つれづれにまかせて…綴っています。 住所 400-1214 山梨県甲府市高成町998旧見晴らし亭 090 6194 8399 山梨昇仙峡充円寺分院 sorag0211@gmail.com

1コメント

  • 1000 / 1000

  • べつばら

    2019.06.16 05:47

    オチに合点でござりす   実はわたくしめ、 やや狭所恐怖、(笑) 密閉が不得手なゆえに 浴室の扉初め(笑) 味噌汁の鍋蓋、湯残しやかん、 残菜皿のクレラップ、 なども意識的にスキを開けてしまう のです(笑) 中身の息が抜ける 空気のスキを渡すイメージ でしょうか 仰せのとおりで 人も同じようでございますね 徳川さまの ためになり愉しゅう お話しありがとうございました (⌒‐⌒)